青いゾンビ、白いゾンビ。
「青いゾンビだけは絶対にやりたくなかった」
「サンゲリア」特殊効果担当、ジャネット・デ・ロッシの言葉。
クリエイターとしての意地を感じさせますねえ。
安易にロメロ・ゾンビを倣わず、
死人メイクと言えどもオリジナルにこだわる姿勢が、
あの独創的なモンスターを産み出したんですね。
夢遊病患者のように歩く、
ミイラと腐乱死体の中間のような白っぽいゾンビ。
ミミズのおまけ付き。
斬新で魅力的でした。
ゾンビものというだけで、深く考えもせずに
青塗りゾンビを登場させてしまう自分はまだ青いです。
今仕上げてる作品もやはり青塗りゾンビがメイン。
フルフェイスマスクを使用した腐乱ゾンビも登場しますが、
この方法を採用したのは、
「現場でのメイク時間を節減できる」
というのが一番の理由。
衣装着てマスク被って手袋付けて、
カツラ被ったらはい出来上がり、ってわけです。
考えてみれば、たいていの良いゾンビ映画は、
登場するゾンビにオリジナリティーがあります。
あるいは独創的なゾンビをクリエイト出来れば、
おのずと良い作品になる、ということか。
「悪魔の墓場」
「ナイト・オブ~」のロメロ・ゾンビをなぞらえつつも、
墓石を軽々と持ち上げて放り投げる怪力ぶりで圧倒。
「死霊のはらわた」
邪悪な霊(?)に憑依され凶暴なゾンビとなり、
笑いながら襲いかかる。
人食いが目的でなくただ痛め付けたいだけ。
バラバラにしてもピクピクしてたり、
コマ撮りアニメで崩れたりと、全てがオリジナルでした。
「バタリアン」
デザインはマイケル・ジャクソンの「スリラー」みたいですが、
タールマンやオバンバなど、
メカ仕掛けのデフォルメされたゾンビは個性的。
ゾンビが走る、しゃべる、というのも
当時としては新味がありました。
「デモンズ」
悪魔をモチーフにした猛獣のようなゾンビは
後に多くの模倣を産み出しました。
牙が元の歯を押しのけて生えてくる変身シーンも楽しい。
「ドーン・オブ・ザ・デッド」
「ゾンビ」をリメーク?大丈夫なの?
なんて危惧を吹き飛ばすほどの全力疾走ぶりは新機軸でした。
ホラー映画を製作する際、
既製の名作に倣うのは、決して悪い事じゃありません。
でも、これからゾンビ映画撮るんなら、
何かしら新しい事やりたいですねえ。