「新・死霊のはらわた」
(THE DEAD NEXT DOOR)
(1986年 アメリカ 84分)
「死霊のえじき」の名場面を無理矢理再現しまくった8ミリ映画。
タイトルが「死霊のはらわた」なのは、
サム・ライミが資金援助しているから。
冒頭、家の窓にカメラが迫る主観のショットがあり、
そこだけ申し訳程度に「はらわた」っぽいです。
あと劇中のテレビで「死霊のはらわた」を放送してます。
出資者への気遣いはそのくらい。
あとはひたすら「死霊のえじき」を模倣しまくります。
舞台はアメリカ。
世の中ゾンビだらけになって5年。
ゾンビ撲滅のための特殊部隊が結成されてます。
雰囲気としては田舎の警察署って感じで、
内部にはゾンビを使い変な実験をしてる科学者なんかもいます。
まあ、「死霊のえじき」そのまんまの設定。
この特殊部隊の隊員数人と科学者が、
田舎町でカルト教団と戦います。
この教団、「ゾンビ出現は神の意思」という教祖の教えに従い、
ゾンビを大量に捕獲して教会で飼ってます。
儀式で人を殺し、その死体をゾンビの餌にしてます。
特殊部隊に喧嘩を売ったものの、
銃撃されて死を意識したキ○ガイ教祖は、
飼っていたゾンビを解き放ち、
自分も信者も喰われまくりです。
もう「死霊のえじき」のクライマックスそのまんま。
他、ゾンビに噛まれた隊員が、
科学者に不完全な血清を実験的に投与され、
知性を残したままゾンビになっちゃうエピソードも。
このゾンビ隊員、科学者を追い詰め、
他のゾンビをけしかけます。
言葉も話すし、廊下を歩いて敵を追い詰めるあたり、
「死霊のえじき」の名物ゾンビ「バブ」の再現。
まあ、こんな感じで、
「死霊のえじき」で見た覚えのある場面が一杯の自主映画。
エキストラの人数も多く、自主映画としては規模が大きいです。
特筆すべきは特殊メイク、特殊効果で頑張ってること。
ゾンビメイクはかなり「死霊のえじき」っぽいです。
スプラッター描写など、特殊効果の量も多く、
血みどろなサービス精神に溢れています。
ただ単に好きでやってるだけなのかもしれませんが・・・
皮膚を喰いちぎる時の傷口の糸の引き方なんかは、
本当に「死霊のえじき」ソックリ。
他にも、
下あごの無いゾンビ、
メカ内蔵で動くゾンビの生首、
実験台の上で半解剖状態のゾンビなど、
「死霊のえじき」の再現を上げたらキリが無いです。
ダミーは少々作り物然としていて、オモチャっぽい感じもありますが、
自主映画としてはかなり本格派で見応えあり。
ただ、見るべきはそこのみ。
演出の問題か、
「死霊のえじき」の世界を再現しているにもかかわらず、
緊迫感は皆無。
日中の屋外ロケが多いせいもあり、どこかのどかで、
オリジナルにあるような終末感は感じられません。
ただ「死霊のえじき」が大好きな事だけは、
痛いほど良く伝わって来ましたよ。
※ ちなみに「新・死霊のえじき」 も別に存在します。
やはり自主製作8ミリ映画で、
見せ場は「死霊のはらわた」を意識したゾンビ崩壊。
なのでこの2作品、タイトル逆の方が絶対しっくりきます。