「ゾンビ」テレビ初放映騒動!その2 | 地獄のゾンビ劇場 ~ZOMBIE THEATER~

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「地獄の血みどろマッスルビルダー」監督・深沢真一によるホラー映画雑学&雑談ブログ!

「ゾンビ」テレビ初放映騒動!サスペリア版の衝撃!その2


ゾンビ-サスペリア版8

 CM前 噛まれちゃって可愛そうなロジャー

 

「ゾンビ」のテレビ初放映は、
深沢哲也氏の珍妙な・・・・・いや、個性的な解説に続きスタート。

 

先ず、惑星大爆発。日本公開版のみのオープニングです。
劇場では1回だった爆発が3回ほど繰り返す編集に変更。


ゾンビ-サスペリア版3
ゾンビ-サスペリア版4
ゾンビ-サスペリア版5

 日本版のみの惑星大爆発

それに続くタイプ文字のスーパー、
「惑星が爆発しましたので死人が甦りましたよ、云々」
はカット。
まあ、この位はね。しょうがないです。
放送時間の都合もありますし。

 

しかし、次の瞬間・・・・・

 

アレッ?
音楽が違う!!!


冒頭、パニック状態のテレビ局。
荘厳な雰囲気の「メインテーマ」が流れるはずが、
「ジャンジャン!」と効果音みたいな短い曲が流れてすぐに途切れ、

その後はこのシーン、BGM無し。

セリフと現実音のみ。

不自然。

最初何が起こったのか判らず、

放送事故かと思いましたよ。

 

続くプエルトリコ人アパートの場面では、
緊迫感溢れ、かつとても格好良いテーマ曲「ゾンビ」・・・・・

・・・・・は流れず、
代わりになぜか「サスペリア」の曲が!

 

あとはもう・・・・・
憤り、落胆し、最後は力無く笑いました。


噴飯物だった初回放映=サスペリア版の全貌は以下の通り。

 

[BGMが全て差し替えられている]
  日本公開版=アルジェント版で派手にかかりまくっていた
  ゴブリンの名曲を全て差し替え。
  代用曲は「サスペリア」のサントラを特に多く使用。

 

[尺を大幅にカット]
  放送時間の都合上これはやむを得ない。
  ただ、主人公らがヘリで安全な場所へ移動する過程を
  バッサリ切ってしまったため、
  そこでのイザコザやいがみ合いがスッポリ欠落。
  主人公らは最初から仲良し4人組だったことに。

 

[セリフの内容を変更]
  全く違う内容のセリフを創作したり、
  実際の内容と正反対のことを言わせたり。

  尺を詰めたことによる辻褄合わせで変更されたセリフも。
  映像では明らかに何か揉めてるのに、

  吹き替えでは、
  「みんなで力を合わせて頑張ろう!」ですと

  ラストの決めゼリフまで陳腐な内容に変更したため、

  余韻を残すエンディングが、

  ちょっとハッピーエンドっぽくなってしまった。

 

  他、いくつか目立った点を。

  テレビ局で、ヒロインのフランが古い情報のテロップを止めた、

   →放送自体を止めたことに変更。

  そのフランの妊娠に関して、

  SWAT隊員ピーターの中絶を勧めるような発言に対し、

  スティーヴンが拒否、

   →ピーターが出産を勧め、スティーヴンが中絶を希望に変更。

  

[残酷描写を執拗にカット]
  頭部破裂はもちろん、
  内蔵引きずり出しも全て無かったことに。
  他、随所にあったリアルな着弾なども細かく削除。
  (ただし結構残酷なのに生き残った着弾もあり、判断基準は謎)

 

[登場人物が「ゾンビ」を連発]
  原語ではゾンビのことを「奴ら」「化け物」「死人」などと表現。
  「ゾンビ」と呼ぶのは後半になって一度だけ。
  あえてそのものズバリ言わない奥ゆかしさ(?)。

  吹き替えでは冒頭から「ゾンビ」を連発。

 

何の権限があって他人様の創作物をここまで改変したのでしょう?

放映権を買ったら中身をどういじろうと勝手?

製作した人達がこれを見たら一体どう思うのだろう?

 

放送終了後も胸の中のモヤモヤが全く晴れませんでした。

もう遅い時間だったけれど、

いつも「ゾンビ」名画座巡りに付き合わせていた友人に電話。

「見た?何なんだよ、アレ、酷いな!」

電話に出るなり彼は言いました。

おおっ!やはり同じ気持ちだったか!同士よ!

お互いに思う存分愚痴を言い合い、

多少気持ちが収まったところでその晩はフテ寝。

 

しかし私にとって本当に大変なのは翌日でした。

 

「なんだよ、「ゾンビ」全然大したこと無いじゃん」

「ノロマなだけでちっとも怖くなかったな」

「お前が言ってた凄いシーンなんて全然無かったじゃん」

 

違うのだっ!

アレは本当の「ゾンビ」じゃないのだっ!

本当はもっとカッコいい音楽で、

凄い残酷シーンが一杯で、

頭なんかドカーンッ!と爆発しちゃって、

ゾンビももっとお肉をたらふく食べまくりで、

内臓もズルズル出しまくりで、

クールなSWAT隊員は最後の最後に、

「赤ん坊を育てる場所を探さなくちゃ」とか、

「まっかしとき~」とか絶対に死んでも言うわけなくて、

とにかくホントはもっと凄くてカッコ良い映画だったんですー!!!

 

その日1日、私は必死で弁解して回らねばなりませんでした。

 

でもクラスメートらは

「ふーん」

と、あんまりピンと来ない様子。

 

それにしても、

なんで私が言い訳しなきゃならんのだ!

12チャンネルめ!許さん!!

 

しかし・・・・・

おそらくは世界一の珍バージョンであろうこの初回放映版が、

後に「ゾンビ-サスペリア版」として、

マニアの間で珍重され、裏取り引きされる事になろうとは・・・・・

 

そして、かくいうこの私も、そのビデオの存在を知った時は、

「おっ、懐かしいな、欲しいかも」

なんて思ってしまうのでした。


ゾンビ-サスペリア版7

 CM前 黄昏るフラン

 

・・・・・・・・・・おまけ・・・・・・・・・

以下は冒頭、テレビ局のシーンでの学者の吹き替えセリフです。

 

  「2週間前に大爆発した惑星イオスの、特殊光線が、

  地球上に作用して死者が甦りつつあると言ってるんです!」

これほとんど創作セリフでしょう。 惑星イオスなんて本当?

 

  「甦った死者、つまり分かり易く言えば「ゾンビ」が!」

特に分かり易くなってません!甦った死者で十分分かります。


ゾンビ-サスペリア版2
 出演者クレジット


ゾンビ-サスペリア版6
 監督クレジット~メインはダリオ


ゾンビ-サスペリア版9

 出番無しだった看板ゾンビ「右側ズル剥けオジサン」

                  (勝手に命名)

 

あとちょっとだけつづく!

 

 

 

 

 

 


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